coat : HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE
pants : HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE
belt : ISSEY MIYAKE MEN
 
◾︎MODEL : David Hallberg
◾︎PHOTOGRAPHER : Hiroki Watanabe
◾︎Stylist : Yumi Nagao
 
PORTRAITS / David Hallberg
 
 
バレエダンサーにとって怪我はつきものであり、最も恐れることである。長いリハビリを経験し、バレエ界の貴公子 David Hallberg (デヴィッド・ホールバーグ) が8月に行われた3年に一度のバレエの祭典「世界バレエフェスティバル」に初参加を務めた。美しき不死鳥ホールバーグの身体と精神、その原動力について聞いた。
 
—今回の来日の目的は世界バレエフェスティバルへの初めての参加だと思います。フェスティバルで踊る演目について教えてください。
 
今回演じるプログラムはダンサーにとって、クラシックバレエの世界で最高の作品を選んだと思っています。ジョージ・バランシンの「アポロ」そして「眠れる森の美女」。GALA では「白鳥の湖」を踊ります。
 
 
—常に ABT (American Ballet Theatre) のプリンシパルとしてトップであり続けること、それを保つための秘訣を教えてください。そして、これまで自身の怪我とも向き合って復活をしてきたと思います。精神、肉体的にもナーバスな時期を乗り越えるために大切にしていることはなんでしょう。
 
常にこれで十分だと思わないようにすること。常にこれでいいのか?と自分に問いかけ続けています。例えば今日の演技でもっと良く出来るところはなかったかと問いかけるようにしたり、今の自分のレベルで満足せずに常により高みを目指すようにしています。これまで怪我やタフな時期を乗り越えて来られたのは、誰も欠かせない存在にはなれないということ、つまり誰もが代わりになることが出来るということを教えてくれたからです。(実際に15日のGALA公演ではホールバーグも「マルグリットとアルマン」にて代役として出演した) それにより、自分のエゴがなくなり、自分にとっての芸術に何を望むのか、自分がアーティストとしてどうありたいかということを考えるようになりました。個人としての自分の本質、また芸術家としての自分の本質を教えてくれました。
 
 
—ナタリア・オシポワとの共演をいつも楽しみにしていますが、彼女との共演は言葉を超えた強い繋がりを感じるように思います。彼女の魅力は何でしょうか?
 
彼女の全てが魅力的だと思います。ナターシャと私の絆はとても深く、ソウルメイトのような関係ですね。彼女の感情的なところや、外見的な美しさ、精神性、色気、芸術性そういったすべてに惹かれています。ステージ上でもステージ外でもそうした感情を抱いていますし、ありがたいことにステージの上でそういった感情をダンスを通して表現できていると思っています。
 
 
—古典バレエの場合、その演目は既に100年も他の踊り手によって演じられてきたものばかりですし、そこに革新と伝統をもたらすことは簡単ではないと思います。自分自身のスタイル、個性の出し方について伺いたいです。
 
クラッシックバレエを踊る際に身体的な個性は出せていると思っていますが、内面的な個性を古典作品の中で表現するというのは最も難しい部分だと思います。そのことが出来ているダンサーはほとんどいないと思いますし、私自身にとっても大きな課題の一つですね。他人が期待するような役柄に合わせるのではなく、自分自身が考えに沿って演じるということが大切。ナターシャはクラッシック作品を演じる際に個性を表現するという点においても他のダンサーよりも優れていると思います。
 
 
—今回の来日中に歌舞伎を観に行った Instagram (@officialdavidhallberg)を拝見しました。「バレエ」と「歌舞伎」、違っているようで伝統を大切に守りながら、受け継がれていくそれぞれの芸能について、ホールバーグさんはどのように感じていますか?
 
人々の歌舞伎に対するイメージとバレエに対するイメージは似ていると思います。多くの人がバレエを実際に見るまでは、過去のもの、時代遅れのものという印象をもっていますが、いざ観劇するとまったくもって時代遅れじゃないと気づきます。私自身も歌舞伎を鑑賞する前は歴史的なもので過去のものというイメージがありましたが、実際に鑑賞するとすごく新鮮でモダン、それでいて伝統を感じられたのでとても感動しました。バルコニーから人がかけ声をかけたり、すごくモダンでエキサイティングでびっくりしました。四時間ずっと感動していました。
 
 
—先日8月6日、8日広島長崎原爆投下の日に東信氏と椎木俊介氏が記念碑に献花されていたのが印象的だったと思います。あなたの Instagram で彼らの作品を大変気に入っている投稿を見ました。あなたが思う彼らの作品の魅力を教えてください。
 
最初にまず花を使っての独創的なクリエイションと言うのを今まで見たことが無かったので、初めて東信さんの作品を見た時に感銘を受けました。彼はご自身をフローリストと名乗っていますが、私は彼を芸術家だと思っています。今回の滞在中も、彼のブーケを二束オーダーしてホテルの部屋に飾っていますね。彼にまだ会ったことがないので今回の滞在中にお会いしたいと思っています。彼は常に実験をしていて例えば花を凍らせたり海に沈めたり宇宙に飛ばしたり・・常に何か新しい試みをしているんです。椎木さんと東さんは、同じ言葉を話す (ツーカーのような) 子供時代からの友人同士のように感じます。そうした二人のコラボレーションだからこそ息を呑むような美しい作品が仕上がったと思っています。今回の東さんの作品を実際に再現し手にすることはできませんが、椎木さんは最も美しい瞬間を切り取って残しています。
 
 
—Tiffany & Co. (ティファニー) のキャンペーンや Gosha Rubchinskiy (ゴーシャ・ラブチンスキー) に写真を撮られたり、ホールバーグさんにとってファッションとはどのような存在でしょうか?
 
ファッションは私にとってはまた別の形での芸術だと思っています。昨今のファッションは売上重視など、もちろんビジネス的な局面も強くなっていますが。Gosha Rubchinskiy や Annie Leibovitz (アニー・リーボヴィッツ) たちは芸術家だと思っています。芸術家とコラボレーションするというのは素晴らしい体験ですよね。例えばさっきの撮影もたった10分とはいえ、そうしたコラボレーションでしたね。
 
 
—日本滞在中に地下鉄に乗ったり、居酒屋に行ったり、銀ぶらをしたりしていると思いますが、日本滞在中に楽しみにしていることは何ですか?
 
日本に親しい友人が居て、彼女が日本に住んでいるおかげで色々とローカルな人しか見れないようなところに連れてってもらえています。日本人しか居ない観光客も外国人も居ない場所で、僕たちはその場所を“ゲットープレイス”と呼んでいます (笑)。 私自身も何でもトライしたいと思っています。
 
 
—前回滞在中には“おから”、今回滞在中には“バブルつき海藻=海ぶどう” (ホールバーグのtwitterより) に挑戦したと思いますが、ホールバーグさんにとって食べること、日本食の魅力を伺いたいです。
 
食について言うと、私はアメリカ出身なので、砂糖がたくさん使われていたり、添加物が沢山あるものが多い国なので、日本食の文化と言うのは素晴らしい。日本の食文化というのは食材を余すことなく使い切ろうとするのが感じられます。例えばおからだって、豆腐のかすからできていますよね?こうしたものはアメリカにはないので、寿司や天ぷらとはまた違った日本の本当の文化だと思うのでできるだけ味わいたいと思っています。
 
 
—日本のバレエファンに一言お願いします。
 
日本に来ることはいつも凄く楽しみにしています。私にとって日本に来日の機会は無限の魅力があり、アメリカとは全く違う文化だと思います。日本滞在中に感じるのは、日本人は本当に礼儀正しい。ロシアに住んでいたことがありますが、その時にはそうしたことは感じられませんでした。日本では本当の意味での尊敬、尊重を感じていて、他人に対しての礼儀を来るたびに学ばせてもらっています。日本に来るとそうした喜びをもらっているので、日本のファンの皆さんに出来るだけたくさん楽しんでもらえるよう踊っています。
 
Interview by Yumi Nagao

【Styling & Interview】THE FASHION POST / David Hallberg